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カテゴリ:映画レビュウ 「連載」( 6 )

第9地区  District9

今日(4月11日)から公開の話題作「第9地区」観てきました。
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初日に映画を観に行ったのは何年ぶりだろう・・・。


SF系の映画はあまり好みじゃないんだけど、これは十分楽しめた。
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(ストーリー)
南アフリカ共和国・ヨハネスブルク上空に、突如宇宙船が出現した。
だが、その宇宙船は故障して動かなくなった為、その場に留まってしまう。
20数年後、宇宙船に乗っていたエイリアン(宇宙人)たちは地上に下り、隔離地域である第9地区へ移住し、難民として人間たちと共存していた。
だが、人間とエイリアン(「エビ」と呼ばれている)の争いが絶えない為、超国家組織・MNUによって管理・監視されていた。
主人公・ヴィカス(MNUの役人)は、エイリアンを新しい地域に移動させる為、第9地区に赴くが、そこで大事件が起こる。
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旧南アフリカのアパルトヘイト時に於ける「第6地区問題」を基にしているので、リアリズム感たっぷりのストーリー展開。
(当然、カメラワーク・演出はドキュメントタッチ)
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ただ、そこはハリウッド。
先の読めないエンターテインメント的展開で、グイグイ押してくる。
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エイリアンしか使えないという特殊な武器をDNAと併せて巧みに扱ったり、
如何にも“人間がやりそうなこと”を提示して、ドンドン盛り上げてゆく。(もうちょっと捻って欲しかった)
個人的には、徹底した現実路線で物語を進めてほしかったが・・・それじゃ興行成績に結びつかないよな(笑)。
あのラストは切ないが、もしかして、続編への布石か…!?



(キャスト)
主人公・ヴィカス役のシャルト・コプリーが素晴らしかった。
とてもシロウトとは思えない卓越した演技!
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ちょいちょい見えた“10円ハゲ”みたいなのは、ヴィカスのストレスを表す演出か?(だったら凄い)
ジョン・マルコヴィッチとブルース・ウィリスをMIXしたようなクーバス大佐(デヴィッド・ジェームズ)、
ヴィカスの妻・タニア(ヴァネッサ・ハイウッド) の美しさも目を引いた。
マイナーな俳優陣でキャストを固めたのが、この映画の魅力の一つといえよう。
手垢のついた俳優だと、リアリズムが霧消しちゃうからね…。


ところで、この映画、武器オタクやロボオタクにも評判良いんじゃないだろうか。
あまり詳しくない私が観ても、あの武器やロボットで話を膨らませた映画(スピンオフ)を妄想したくらいだから・・・
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それと、しばらくエビ食えなくなった人いるんじゃないかなw
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by bonchi_mas | 2010-04-10 00:00 | 映画レビュウ 「連載」

チェ  28歳の革命・39歳別れの手紙

「チェ  28歳の革命・39歳別れの手紙」を観た。
主人公は、世界中で最も人気の高い革命家、エルネスト・ゲバラ。(チェ・ゲバラ)

長尺且つ淡々とした作りは、ある層にとってはキツイかもしれないけど、私にとっては大歓迎。
7年間もリサーチを重ねて制作されたのだから、ドキュメントタッチになるのは当然かな、と。
amazonのレビュウを観ると賛否両論だが、私は☆☆☆☆付けたいと思う。
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「1960年頃、世界で一番かっこいい男がチェ・ゲバラだった」 (ジョン・レノン)
「チェ・ゲバラは20世紀で最も完璧な人間だ」 (サルトル)世界的哲学者

とにかく、これを読んでみてほしい。 ゲバラの凄さ・魅力が分かる。 ゲバラを知らずに過ごすのは、あまりにも勿体ない。
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第一部の「28歳の革命」は、盟友・フィデル・カストロと共に、キューバ革命を成功させるまでを鮮やかに描いている。
エンターテインメント要素は皆無に近いが、ソダーバーグの意向を知っていれば、十分鑑賞に堪える。
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辛口で知られるニューヨーク・タイムズが、こう評している。
『ベニチオ・デル・トロの演技は、技術面では無傷で完璧の一言に尽きる。
この映画の観客は、彼が腕時計を見る時に腕を折り曲げる仕草、
パイプ煙草の煙を宙に燻らせながら、同志たちをチラッと横目で見る様子、
オレンジの皮を剥く手の動作、 まさしくチェ本人の動きそのものを目の当たりに出来る』

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さて、一転して、ゲバラの苦悩と失敗を描く第二部「39歳 別れの手紙」だが・・・

持病の喘息、兵士の士気の低さ、農民たちの非協力的態度、裏切り・・・
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これらが重なって、ついにゲバラは捕らわれの身となる。
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最後は銃殺されるわけだが、悲壮感は感じられなかった。



ラストシーン・・・・・
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カストロをチラッと見るゲバラの顔にグッとくる。
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ソダーバーグは、ラストシーンを撮るのが上手い。 (第一部のラストも素晴らしかった)
徹底して役作りを行ったデル・トロの神演技は、要必見。


ところで、ゲリラ活動を森の中で展開するゲバラは、害虫に悩まされなかったのか、気になって調べてみた。
手持ちの「ゲバラ日記」の中に、ブヨ、マリギー蚊、ダニ等、害虫の記述が出てくる。
1966年11月10日の日記には、「虫による天災は、まさに拷問そのものであり、
我々は蚊避けのネット(それを持っているのは私だけだが)を抱えて、 ハンモックに避難しなければならない」とある。

あと、冷蔵庫の無い環境や不衛生な食事情等で、ゲバラや仲間たちは、胃腸や肝臓の病気にも悩まされた。(寄生虫)
ゲバラはアレルギー体質だったから、相当きつかっただろうなぁ・・・。


私はゲバラの著作(関連本も含め)をあまり持ってないので、機会を作って色々と読んでみたい。
(膨大な数の関連本が出版されてる)
特に興味あるのが、海風書房の「エルネスト・チェ・ゲバラ伝・上下2巻」、「チェ・ゲバラ/情熱の人生」、
ジョン・リー・アンダーソン著「Che Guevara A Revolutionary Life」など。

まだまだゲバラは奥が深い。 
今、一番行きたい国はキューバ。 音楽(強烈なリズム)、葉巻(大好き)、美しい海岸、ベースボール!
私には、社会主義国家が向いてるかも。(北朝鮮は絶対にイヤだが)
by bonchi_mas | 2010-01-20 00:00 | 映画レビュウ 「連載」

赤線  

超久々に、奥 秀太郎監督の「赤線」を観た。
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前に観た時もボロクソ言ったけど、今回は好意的に観れた・・・かな。
やっぱ、年齢を重ねると、嗜好が変わってくるからね。


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でも、時代考証がユルイのが難点だし、「映画」というよりは「演劇」だな、こりゃ。
小劇場好きな人が観たら、“それなりに”楽しめるんじゃないだろうか。
まぁ、私からすれば、「ナメんじゃねーよ」という感じなんだが(笑)。

メイキング映像を観たところ、現場に緊張感が無かった。(奥監督は、どう見てもゲーマーのような風貌・笑)
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こういう物語を「映画」として昇華させたいのなら、もっと徹底して造るべき。
徹底することによって緊張感を煽れば、「赤線」特有の淫靡さやデカダンな雰囲気が生まれるのではないだろうか?
そういう意味では、望月六郎や、三池崇史に撮って欲しい題材だったなぁ。
と言いつつ、「昭和SFラブストーリー」と銘打ってるのだから、
奥監督は、ハナっから本格的な作品を撮ろうと思ってないんだよね(笑)
(というか、この時点では、撮ろうとしても撮る実力がないと思う)

とか何とか、シロウトがブーブー言っても仕方ない。
監督が音楽に一家言持ってるだけに、ヴィジュアルに合った音楽は良かった。



冒頭の「夏だ、新しい恋がしたい」と言う台詞で、「もしかしたら佳作かも」と、思えるのだが・・・
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主役の一人である「つぐみ」が良い。
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「脱ぎ」は無かったものの、ここまで“愁い”を感じさせる女優は稀有だ。
もっと良い監督に演出してもらうべき。
せっかくの才能が勿体無い。


荒川良々。
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じっくり観たのは初めて。
前に観た時は、「何じゃ、この知●遅れみたいなシロウト俳優」と思ってたのだが、
独特の「間」と、相手の「気」を吸い取る個性が面白い。
最初は、神戸浩みたいな役者かと思ってたんだけど… 違った。
しかし、小劇団出身の役者は、フザけすぎな感じが鼻につく。
何度でも書くが、「映画」は「舞台」じゃないんだぞ。



中村獅童は良かった。
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ただ、上にも書いたように、徹底して造り込めば、もっと良い演技が出来たと思う。
脚本に力が無いから、役者の個性だけで見せようとしても上滑りするだけ。
場末の女郎屋に入り浸る侠を演じてサマになる俳優は、現代にはいない。
いや、いるにはいるのだが、加藤雅也とか山口祥行にオファーしないだろうな…


野田秀樹も出てたんだけど、この人は何が凄いの?
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こういう役(妖しげな薬屋の店主)なら、大杉漣に演らせりゃピッタリなんだが・・・


低予算の割りに、なかなか良いセット。
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ただ、「書割かよ!」とツッコミたくなるような場面がある。(残念!)
チェックを怠った監督の責任は大きい。



画面に向かってポーズをとる演出は良くあるが、脚本がシッカリしていれば、必要のない演出だ。
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だから、この作品では効果的だった。(何と皮肉な)


とにかく、獅童と、ミュージッククリップ好きな人にお勧め。(「つぐみ」も良いよ)
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この手の映画に必要不可欠なエロス、愛憎、痴情の縺れ等を期待して観ないほうが良い。
「さくらん」と同じで、カタルシスもドラマも何も無いから。


「つぐみ」だけではなく、薄幸の少女(遊女)を演じた片山佳も光ってる。
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関西には、現役の遊廓(赤線)が、まだまだ残っている。
それらの消えないうちに、こってりハードな色街映画が観てみたい。
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この女優が気になった!
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by bonchi_mas | 2009-09-08 00:00 | 映画レビュウ 「連載」

なぜ、若者は死に至ったのか =イントゥ・ザ・ワイルド=

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              道なき森に楽しみあり    孤独な岸に歓喜あり

        誰も邪魔せぬ世界は    深い海と 波の音のそばに

        我 人間より自然を愛す  -----バイロン卿






1992年、アラスカの荒野で、一人の青年の遺体が発見された。
青年の名は、クリストファー・マッカンドレス。  まだ23歳の若さであった。
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これは、実話に基づいた映画である。


1990年夏、アトランタの大学を優秀な成績で卒業した22歳のクリス(エミール・ハーシュ)は、
将来へ期待を寄せる家族から離れ、全ての貯金を寄付し、兼ねてから計画していた壮大な旅に出る。
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人生の終着駅・アラスカ(現在)⇔旅の行程(過去)を、巧みに交錯させながら物語は進む。
厳しくも美しい自然を背景に、青年の姿が神々しく映える。
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ヘラジカの群れに遭遇した時の、クリスの生無垢な瞳に胸を打たれる。
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アラスカまでの道程は、母のように優しい大地だ。
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待ち受ける苦難を想像させない穏やかな日々・・・。
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その中で印象に残ったのは、リンゴを美味しそうに齧るシーン。(この世の食べ物とは思えないほど美味しそうに!)
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「戦場のピアニスト」のE・ブロディが、敵の将校から貰ったジャムを食べるシーンも素晴らしかったが、このシーンも素晴らしい!




アリゾナ→カリフォルニア→サウスダコタへ移動を続ける途中、感動的な出会いと別れを繰り返して行く。
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少女・トレーシー(クリステン・スチュワート)との出会いも印象深い。
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プラトニックな関係を守ったクリス・・・ ここでも、彼の鋼鉄のような意思を感じる。
女の「優しさ」を知ってしまうと、あらゆることが滞留してしまうのだ。(男にとって、一番危険な事かもしれない)

それにしても、クリステン・スチュワートは魅力的だ。 将来が嘱望される若手女優である。(当時18歳)
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一番グッときたのは、あるお爺ちゃんとの出会いと別れ。
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孫のような年齢の青年が、遥か年上の大先輩を諭すシーン・・・ 日本では、到底考えられない。
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クリスは、出会った人全てに愛された。(お爺ちゃんの泪が、それを強く物語る)
これほどの愛情を持った若者が、なぜ孤独を選んだのか・・・
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文明に毒されることなく、「自由に」生きようと決意したクリス。
その全ての行動に「若さ」と「思い込み」を感じたが、彼は、生まれながらのスーパー・トランプ(放浪者)なのだ。
もう、DNAに組み込まれてるとしか言いようが無い。
それほど、彼の生き様・死に様は徹底している。

こういう生き方が出来るだろうか?
こういう“死に方”が出来れば、例え23年の命でも十分満足ではないだろうか?

ソクラテスの言葉に、「ただ生きるな、良く生きよ」というのがある。
「ただ生きる」というのは動物と同じだ。
瞬間・瞬間を生きてこそ、「生きる」ことが実感できるのだ。
クリストファー・マッカンドレスは、それを見事に・・・あまりにも見事に体現している。

一つ疑問に感じたのは、幼少期からのトラウマが、そこまで徹底した行動に走らせるか?という事。
そして、それに付随する「こじつけ」的な流れ(演出)が引っ掛かった。
まぁ、それを言うと、あまりにも個人的な感想になってしまうからやめよう。 人というのは、複雑怪奇だから。
死にに行ったのではなく、帰還するつもりだったのだろうが、「死」が彼の人生の完成形であったような気がしてならない。
「最期の言葉」も含めて・・・ 


ヘラジカを解体するシーンも、リアリティがあって良かった。
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ただ、自然と共存するのは、あまりにも困難だ。  このシーンは、自然の厳しさを思い知らせてくれる。
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18キロ減量したエミール・ハーシュ、最高の演技を有難う!
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監督は、鬼才・ショーン・ペン。
俳優としてのキャリアはハリウッド随一、映画監督としても一級の腕を持つ。
ジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション「荒野へ」に惚れ込み、
映画化権獲得に10年近い歳月を費やし、自ら脚本も手がけている。
その「執念」が、後世に残る傑作を生み出したといっても過言ではないだろう。 
必見の秀作です。
by bonchi_mas | 2009-09-08 00:00 | 映画レビュウ 「連載」

麻雀放浪記

ギャンブル(博打)をやった事がないという人がいる。
そういう人は、よっぽどお気楽に生きてる人だろう。
結婚だって、就職だって、遊びだって、外食だって、ギャンブルみたいなものだ。
人生は、小さな選択(賭け)の連続なんだから。(但し、リスクを背負って生きてる人に限る)

“大きな快楽”を獲たい時は、大袈裟ではなく、身を削る覚悟で賭けに出ることだ。
負けて痛い目に遭うこともあるが、勝った時には、大きな快楽が手に入る。
普通が一番とか、平凡が良いなんて言うのは、エクスキューズに過ぎない。

快楽にも色々あるが、私の言う快楽とは、「情報を獲得すること」である。
(本来、情報というのは、ネットや雑誌等で手に入るものではない)
もちろん、快楽そのものを手に入れるのが一番の目的ではない。
賭けるときの、独特の緊張(ワクワク感)も味わいたいのだ。
こういう経験をしなくなった(したくなくなった)瞬間から、人は老いる。それも、急速に。
(若いとか年寄りとか関係なく)

例えば、
ケンカ(仕事)は、強い奴とやらなきゃ、強くなれない。
セックスは、いい女(いい男)とやらなきゃ、絶対に気持ち良くならない。
じゃあ、どうすれば強くなれたり、いい女とセックスできるのか。
当たり前の事だが、しっかり“努力”し、“リスク”を背負う事だと思う。
そうして、ここ一番で「賭け」に出る。

勝ち負けも大事だが、プロセスも大事だ。
痛い目に遭って、様々な経験を身体に打ち込んでいくうち、勝てるようになってくる。
(負けっ放しで終わる奴もいる)
失敗を怖がって何もしない人は、快楽と一生縁がない。だから、つまらない人間になる。
現代人の多くは、負けの妙味を知らないのではないだろうか。
大したものも持ってないのに、守りに入る人が多すぎる。

ところで、映画を観る時とは、どういう時だろう。
予定がないから観るとか、暇つぶしに観るという人には、土曜ワイド劇場でも観てろと言いたい。
映画を観る為だけの時間を作らないと、決して映画は(脳・心に)入ってこない。
特に、そういう気持ちで臨んでほしいのが、傑作「麻雀放浪記」である。
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たった1時間49分30秒の中に、人生の妙味がギッシリ詰まっている。
麻雀を全く知らない人が観ても、全身がシビレるような映画なのだ。

監督の和田誠は、言わずと知れた名デザイナーである。
「昭和の佐藤可士和」といっても過言ではない。(いや、「平成の和田誠」が佐藤可士和かな)
この作品は、様々な偶然(奇跡)が重なって、とてつもない傑作となっている。
モノクロームの映像が緊張感を煽り、真剣師たちの人生が、我が人生とオーバーラップするかの如く脳髄に沁みてくる。
細かなストーリーなんて、どうだっていい。
上にグダグダと書いたように、「本当の快楽を獲るためには、賭けなくちゃダメだ」ということ。
これが、作品の根底にヒタヒタと流れるテーマだ。
それを、平和ボケして口が半開きになってる人にも、分かりやすく教えてくれる。



とにかく、演者たちが凄い。
まず、鹿賀丈史がクソみたいにカッコいい。
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役名は、「ドサ健」。
プロのバクチ打ちを、途方もない色気と殺気を込めて演じている。

特に、出目徳(高品格)にナイフを突き出すシーンは、バイオレンスとアートが絶妙にMIXし、
今まで経験した事がないような恐怖感を味わわせてくれる。
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恐怖なんか味わいたくない? へタレなことを言わないでほしい。
そういった「映画的体験」が、後々、さまざまな状況で活きてくる。
映画を、単なる娯楽として捉えてはいけない。
世界的絵画を観たり、文豪の名作を読んだりするより、凄い体験が出来る場合があるのだ。



もう1人の注目は、加藤健一。(左)
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滅多に映画に出ない舞台人(紫綬褒章受賞者)なだけに、この作品の演技は凄く貴重。
役名は、「女衒(ぜげん)の達」。
一般的に女衒役で印象深いのは緒形拳だが、加藤健一の女衒がナンバーワンだ。
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吉原遊廓の女衒を、とことんクールに演じ、底知れぬ刻薄を感じさせる。
こういう侠になれたら、どんなにカッコいいだろう。
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主役の「坊や・哲」を演じるのは、アクションスターから完璧に脱皮した頃の真田広之。
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昔から巧いね、この人の演技は。(若いのに色気もあるし)


東大卒の超インテリ・天本英世の怪演にも注目。(奥でメンチ切ってるジジイ)
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天本さんといえば、スペイン文化(舞踏、文学・映画)に詳しい人というイメージが強い。


この作品で、数々の賞に輝いた名優・高品格。
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“識量の鬼”と呼びたくなるような孤高の真剣師を演じ、観る者を唸らせる。

このシーンは、精力剤の代わりにヒ●ポンを打つところ・・・
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これ、堂々と地上波(ゴールデン)で放送されてたんだよね?(苦笑)
今では信じられない。(だから、表現の閉塞感が増すのだろうか)


私は、大竹しのぶの事を、ずっと勘違いしていた。
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まさに、女優になる為に生まれてきた女である。


加賀まり子の色気と貫禄も白眉。(必見)
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最後に、ドサ健の名台詞。(素晴らしい!)
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・メシにつられてバクチ打ちになるな。

・ゼニが大事に見えてきたか?負けて無くすの怖くなったろ。

・あいつはオレの女だ。この世でたった一人のオレの女だ。
だから、あいつはオレのために生きなくちゃならねえ。
オレは、死んだって手前っちに甘ったれやしねえが、あいつだけには違うんだ。
あいつと、死んだお袋と・・・この二人だけには迷惑掛けたって構わねえんだ。

・テメェら、家付き飯付きの一生を人生だと思ってんだろ。
そんな保険のお蔭で、この女が、自分の女か他人の女か見分けもつかねぇようになってんだよ。

・テメェらにできるのは長生きだけだ。 クソたれて、我慢して生きてるだけだ。
by bonchi_mas | 2009-08-08 00:00 | 映画レビュウ 「連載」

私は二歳

小さい頃から、昔の日本映画が大好きだ。(マセてたのかもw)

このところ、年上の友人の影響もあって、大映の作品(永田雅一時代)にハマっている。
まだまだ観てない作品が沢山あるんだけど・・・

先日、「私は二歳」を鑑賞。
監督は、鬼才・市川崑。

今、“日本一の美女”と謳われた山本富士子に魅了されている。
「五社協定」さえなければ、もっと沢山の映画で見目麗しいお姿を拝見できたのに・・・
あまりにも惜しい。

この作品での山本富士子は、役作りの為か(?)ふっくらしている。
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麗人ですね・・・ 美人の上をゆく「麗人」。
台詞回しも、声も、実に魅力的。

昔の女優を見るようになってから、現代の女優に興味がなくなってしまった。
日本映画全盛期の頃の女優(俳優)は、とにかく、もの凄い魅力に満ち満ちている。


さすがに髪型は古臭いけど、ごっつい色香。
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隣にいるのは、船越英二。(船越英一郎の父上!)
この人の全盛期も、相当魅力的だったんだなぁ。


さて、「私は二歳」。
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この作品を観ると、子供が欲しくなる・・・との事だったが、別に、欲しくならなかった(笑)。
でも、育児の大変さや、親が子を想う気持ちなどが胸に沁みて感動。
あと、映像の魔術師・市川崑のクローズアップの多用(効果)にシビレた。



「ぼく」を演じた小川太郎が可愛い!(現在は40代後半くらい?)
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「ぼく」の心境をナレーションしてる、中村メイコの声も可愛い!



“映画ファン”は、観るべき作品です。(1962年・キネマ旬報第1位) 古いと言って観ないのは損ですよ!
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by bonchi_mas | 2009-01-31 00:00 | 映画レビュウ 「連載」